
皆さん!元海上保安官の「元海保」です!
今回のお話は「映画と現実の訓練の違い」についてお話します!
潜水士の訓練について、

きついんですか?

どんなことやってるんですか?
というようなご質問をいただきましたので、お答えさせていただきたいと思います。

ジッサイノクンレンノホウガキツイデス
映画と現実の違い


皆さんは海猿の映画やドラマをみたことがありますでしょうか?
訓練風景が映し出されるシーンがあるのですが、その訓練風景をみて皆さんが、

キツそう!

やばそう!

吐いちゃいそう!
と感じるでしょうか?それとも、

あんなの余裕でしょ?

こんなこともできないの?

吐いちゃいそう!
と思うでしょうか?正直なところ、きつそう!と思う人のほうが多いのではないでしょうか?
私も潜水士になる前にドラマの訓練シーンを見ていたら、きつそう!と思っていたと思います。
映画と現実どっちがキツイ

実際の話、どちらがキツイのか?

それは現実の潜水士のほうがキツイ訓練をしています!
正直実際にいろんな訓練をやってみてから海猿の訓練シーンを見てしまうと、楽そうだなぁなんて思ってしまいました。
ただ、大事故、大海難については映画のほうがきつそうでした(レガリア)正直あんな海難は対応したことはありませんし、あんな状況で冷静でいられる仙崎大輔(伊藤英明さん)のメンタルは最強だと思います。
ちなみに私が潜水士をしているころ、潜水士の見学をしたいということで、伊藤英明さんに会ったことがあるのですが、あの人普通に潜水士としてやっていけるほどのポテンシャルがあったのと、イケメンでした!

良い筋肉してました
それでは、実際の潜水士はどんな訓練をしているのかご紹介させていただきたいと思います!
潜水訓練は実際の海でおこなう捜索訓練や、転覆船内から要救助者を救助する想定訓練、潜水サーキットと呼ばれる訓練を実施します。
捜索訓練

海上保安庁の潜水士といえば、海の中で証拠物を探したり、要救助者の捜索を行ったりします。

その中で必要のなものは、海の中で対象物を発見する捜索能力です!
そんな捜索訓練を海で行うのですが、手順としてはこんな感じとなります。
・海にGO!
・捜索物を海にthrow!
・捜索方法を決定(環状捜索、平行捜索)
・機材を持って海の中にGO!
・海の中でロープを起点に展開し、捜索開始!
・捜索物を見つけます!
(見つけないと不法投棄、海防法にひっかかる、、、)
といった流れで訓練を行いますが、もっと内容は細かくなっております。

ちなみに潜水捜索しているといろんな出会いがあります!
想定訓練

私も経験したことがあるのですが、船が衝突して真っ二つになり、その中に入っていって、船員を救助するなんてことが稀に発生します。

そんな時に慌てないように、船内から要救助者を救助する訓練を行っています。
そんな想定訓練の内容が以下の通りとなります。
・船内に侵入(巡視船の船底に網などのトラップを仕掛けて、船内をイメージ)
・要救助者を発見!
・要救助者に救助用マスク装着!
・搬送開始!
・岸壁、小型艇に要救助者を吊り上げ救助
のような流れとなります。
救助後はバイタル確認や救急車に引き継ぎ、ヘリで搬送などやることは多くありますが、想定訓練の内容を少し記載している記事を張っておきます!
潜水サーキット訓練

潜水サーキットとはどんなものかといいますと、ボンベをつけない状態で、マスクシュノーケル、フィン、ウエイトを装備して行う訓練となっていて、海面から巡視船にロープで登ったり、巡視船から海面に飛び込んだりといった体力的なトレーニングとなっております。
サーキットの内容は以下のような流れで訓練を実施します。
(潜水班によって内容は変わってきます)
・巡視船の船首から海面にI can fry
・巡視船から垂らされたロープを使って船首までGO
・せっかく登ったのに、再度I can fry
・巡視船から垂らされたラダーを使って船首までGO
・またまたせっかく登ったのに、再度I can fry
のようなことを延々と繰り返す、いわば賽の河原のような訓練となっております。

また、プールでの訓練もあり、これがめちゃくちゃキツイ。
プールは溺れてもすぐに蘇生できるので、かなり無茶な訓練をおこないます。
特に障害ドルフィンや重りを持った立ち泳ぎ、盲目にされプールに放り込まれるなどなど。とんでもない訓練がわんさかあります。

ああ、思い出したくない。
救助訓練(レンジャー訓練)

救助訓練では、海の中ではなく、座礁船からの要救助者の搬送や、船内にて要救助者が発生したことを想定して行う訓練などなど。

陸上や船上にて行う訓練をメインとして行います。
ちなみにどんな訓練を行っているかといいますと。
・要救助者の吊り上げ訓練(ロープや滑車などを用いた訓練)
・要救助者搬送訓練(ストレッチャーやスリングを用いた訓練)
・降下訓練(ロープとカラビナを用いた訓練)
・サーキット訓練(潜水サーキットのような賽の河原訓練)
こんなような訓練を潜水訓練と交互に行っております。
またサーキット訓練ですが、これは単純に体を酷使して脱水症状になり、水分って大事なんだなって思わしてくれる訓練となっております。
正直どの訓練もきついんですけど、先輩や意地悪な班長が考える想定訓練を行う際に、船の中に取り残されている人(足骨折)を救助するといった訓練があります。
訓練を始めると、おそらく実際の現場よりハードな環境になっており、

「あんたなんでこんなとこに挟まってんねん!!」
みたいな状況が多々発生いたします。
実際の現場より過酷な訓練をやっておかないと、現場で動けなくなっちゃうので、訓練はいつもハードでしたね。
特殊な訓練

また火災船対応もあるので、巡視船に積んでいる消火設備の取り扱い訓練や、ライフゼムといった消防の人がつけているボンベとマスクを使用した訓練も行います。

消防士みたいな訓練ですね
このような訓練のほかにもHR訓練と呼ばれるヘリから降下したり(潜水士はホイスト降下)、ヘリに要救助者を吊り上げたり、巡視船と岸壁を係留しているホーサーを渡って海に落ちたり、特殊救難隊が訓練している防災基地のプールで溺れたりなどなど、様々な訓練があるんです。

思ったよりいっぱい訓練がありました
他にももっとあるんですが、それはまた今度。。。
最後に


こんな訓練楽勝でしょ?

海保なんてしょぼくね?

吐いちゃいそう!
なんて猛者な人がいましたら、是非海上保安庁に入庁していただいて、海上保安庁の救助レベルを底上げしてくれたらと思います。

訓練だよ!ドМは集合!!


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