どんな仕事でも新人の頃はOn-The-Job Training(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)略してOJTであったり、よくわからないカリキュラムを組まれたりと大変な日々が続きますよね?


海保だけじゃないですよね?

どの企業でもあるんじゃないですか?
大なり小なり研修的なものは働く上であると思うのですが、海上保安庁の「潜水士」にもOJTのようなものが存在しておりました。
(もしかしたら私のいたところだけかもしれませんが、、、)
そんな私の体験した地獄のOJTをご紹介させていただきたいと思います。

地獄ですか、、、?

今だとニュースになるかも。
小型艇で八つ裂きの刑
八つ裂きの刑(やつざきのけい)とは世界各地で行われていた死刑の執行方法の一種。
被処刑者の四肢を牛や馬などの動力源に結びつけ、それらを異なる方向に前進させることで肉体を引き裂き、死に至らしめるものである。
※ウィキペディア引用

え!?そんなことされたんですか!?

ハイ、サレマシタ

生きてるってことは、大丈夫だったってことですよね?

ハイ、ダイジョウブデシタ
(あれ?恐怖を思い出してる?)
そうなんです。
今でもあの恐怖と痛みの記憶は、私の「脳みそ」と「身体」に植え付けられております。
あの時代でも訴えたら勝てたんじゃないかと思いますが、不甲斐なかった自分が悪かったんだと自分に言い聞かせている次第であります。
潜水士として配属されるまで
潜水訓練が終わり、現場に戻るとすぐに潜水士になるものもいれば、潜水指定船外から研修に参加したものは、異動の時期まで通常業務を行うものもいます。
私は指定船じゃない船から研修に参加したので、数ヶ月のブランクが生じてしまいました。

それってなんだか勿体ないですよね?

そうなんですが、すぐに異動となってしまうと、船員のバランスがおかしくなってしまうので、仕方がないといえば仕方がないのかもしれません。
実際に研修に参加した研修生が全員卒業できればいいのですが、どうしても訓練項目がクリアできなかったり、ケガをしてリタイアしてしまうケースが毎年発生してしまいます。
そんな中、ようやく潜水指定船に配属されたわけなのですが、潜水機材の取り扱いからウエットスーツを着る速度まで遅い私は、潜水班長や先輩からボロカスに言われたり、気持ちいい程度に殴られたり、ラジバンダリ。
潜水指定船に乗っている潜水士じゃない海上保安官にもロープワークで馬鹿にされたりなど、洗礼を受けさせていただきました。

怖っ

社会というものは、、、こんなものですよ!

社会に出たくない、、、

思ったんですが、社会も学校も仕組みは一緒ですよ?
どちらも「いじめ」や「いやがらせ」がありますし、派閥だってあります。
今学校生活で社会の仕組みを勉強していると思いますが、そんな社会の仕組みなんて嫌だ!
と思う方は、そんな「社会の仕組み」から「逸脱している企業に就職する」か、「上手く立ち回る」か、「企業するか」のどれかになりますので、学校生活を勉強だけで過ごすのではなく、社会に出てから活かせるよう毎日を過ごしてもらいたいと思います。

急に現実的、、、でも参考にします!
潜水士のOJT レンジャー編
潜水士になって初めての訓練は「レンジャー訓練」でした。
訓練は「サーキット訓練」であったり、「ロープワーク」であったりと盛りだくさん。
技術はまだまだでしたが、体力だけは先輩潜水士に負けないよう鍛えていたので、「サーキット訓練」についてはビリにはならない状況でした。
そんなところも腹立たしかったのか、ここからが「OJT」の始まりでした。
「ロープワーク」の訓練では設定された時間内に指定された結びをしなくてはなりません。
時間内に完成しないとペナルティが発生し、「顎付けの腕立て伏せ10回」が課せられます。
他にも「結びが甘い」「端末が短い」「端末が長い」などのペナルティにより腕立てが加算されていく仕組みとなっております。

わかりました。とんでもなく腕立てしましたよね?

ハイ、ソノトオリデス
基本的なロープワーク
「もやい結び」
「巻き結び」
「本結び」
「二重つなぎ」

ここらへんはペナルティなくクリアしていったのですが、ここからが逆鬼連チャンの始まりとなります。
「座席の二」
この結びはロープで「簡易的なシットハーネス」を作るものなんですが、慣れるまでは結構難しくて、ペナルティを課しやすいんです。結びが緩かったり、ロープの位置が正しくなかったり、、、

元海保ペナルティ3、腕立て30回!

はい!
腕立てが終わると、
次の結びは「座席の二」!はじめ!

はい。元海保ペナルティ3、腕立て30回!

はい!
といったようにずっとエンドレスワルツ、じゃなかった。エンドレス腕立てをさせられました。

ガンダムWはさておき、なんで何回もミスしちゃうんですか?

そこなんです!まず結びの1か所は結び方が間違っていたのと、腕立てで手がプルプルになって上手く結べなくなってきてしまうんです。

なるほど。
こうして限界まで腕とプライドをズタズタにされこの日の訓練は終了いたしました。
潜水士のOJT 潜水編
腕の傷も癒えぬまま、今度は潜水訓練となりました。
今回の潜水訓練は実際の海で潜水捜索訓練を実施することになりました。
捜索物(自作)を海に投下し、それを捜索によって発見するという単純なものです。
この捜索訓練については初訓練となるので、私は特に重要なポジションに配置されるというわけでもなく、班員として捜索訓練に参加するような感じでした。
久しぶりに海に潜るので少し緊張はしましたが、なんとか問題なく訓練を開始、捜索中も冷静に対応することができました。

でも、このままでは終わらないんですよね?

ハイ、モチロンデス
無事に捜索物を発見し、潜水訓練が終了しました。海面に浮上すると支援艇がこちらに近づいてきます。

よし!あがれ!
潜水班長が支援艇に上がるよう指示しますが、そこには梯子がついていません。

班長!梯子がついていません!

何言ってるんだ?梯子なんか使わないであがるんだよ!!
そういうと、先輩たちは軽々支援艇に上がっていき、海面に残っているのは私だけとなりました。
しかし、どんなに頑張っても支援艇に上がることができません。

おい!早くしろよ!

はい!すみません!
体力的には負けていないのに、支援艇に上がることのできない困惑。
ボンベを含むフル装備での体の使い方が分かっていないのが原因でした。
焦れば焦るほど握力がなくなり、ウエットスーツに締め付けられ「腕パン」が治らない。

お前、弱いなぁ!時間がないからこれに掴まれ!
一本のロープが顔面にたたきつけられます。

離したら置いていくから、巡視船まで泳いで帰ってこいよ
巡視船の距離はかなり離れているため、離したら遭難間違いなし。
絶対に離せない状況でロープを握った瞬間、支援艇はフルスロットルで発進しました。
どばばばばばばばああああああぁぁっぁ
離したら終わりという恐怖からロープを腕に巻き付けたところ、腕が引きちぎられるんじゃないかというほどの衝撃、シュノーケルをしていても息ができない状況から、レギュを咥えようとしたところ、

ボンベの空気吸うんじゃねえよ!!シュノーケルクリアしろ!これも訓練だよ!!
とはっきり言って殺しにかかっているとしか思えない拷問(八つ裂きの刑)を巡視船に戻るまでの数十分受け続けました。

え?嘘ですよね?

ホントウデス
最後に
巡視船に戻り、船に回収してもらったときには腕もそうですが体中がズタボロになっており、潜水士になったことを後悔しておりました。
しかし、それを見てニヤニヤしている先輩潜水士達だけには負けたくない(いつか〇してやる)という思いから、潜水士を続行し、いろんなパワハラにも耐え抜き、私のいた潜水指定船から悪しき文化を無くすことに成功いたしました!

すごい!

時代も時代で、今じゃ訴えられますからね
今はこのような無茶な拷問などは少なくなってきた(多分少しは残っている)ので、是非ドMの皆さんは海上保安官になって、潜水士を目指しましょう!!

自分がやられたからって後輩に同じことしちゃダメだぞ!
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