前回に引き続き、巡視船の整備のため訪れた因島ドックの話をさせていただきます。
前回の記事を読まれていない方は是非前回の記事をご覧になってから本記事を読み進めてほしいと思います!
ドックでの整備作業

さて、テラフォーマーの待つドックハウスでの生活がスタートし、慣れないドックでの整備作業も開始されました。
私は実は機関科ですので、海上保安庁の機関科は巡視船のドック整備でどんな仕事をしているかご紹介させていただきます!
主にドックでの作業は日頃行っている日常点検や長期整備などで行う整備作業に加えて、ドライドックで完全に水を抜いた状態で整備するものがあります。
とはいうものの、大掛かりな整備に関してはドック側の整備士さんがやってくれるので、海上保安官の機関科がやる作業にそれほど大変なものはありませんのでご安心ください!

覚えている範囲で記載しますが、抜けているところも多々あるのでご了承ください。
・主補機の保護亜鉛交換
・主補機の油交換
・主補機のこし器清掃
・ボイラ関係の清掃点検(マニホールド等)
・その他色々
といったようなものであり、長期整備に毛が生えたようなものとなっております。
ドックの整備士さんがやる作業を見せてもらって勉強することもありますが、整備の道具など普段使わないものなので、あまり参考にはならないことも多々あります。
そんな整備業務の合間にドック内を見学したり、一生懸命船を掃除している航海科を眺めたり、ドック内にある食堂でご飯を作ってくれている主計科を覗いたりということをしております。

なんか職場見学みたいで楽しそうですね!

はい!ドック中は呼び出しもないですし、年休を使えば基本休んで旅行気分も味わえますので、この期間は本当にパラダイスです!



ただ、巡視船なんで侵入される恐れがあるから、毎日当直が船で寝泊まりしなくちゃいけないけどな!
そうなんです。
整備後の巡視船に人が入って悪さすることがあるかもしれないので、当直が巡視船内で寝泊まりしなくてはなりません。
その時ばかりは外に遊びにも行けないのですが、1日くらいはしょうがないでしょう。
ドック中の休日


ドック中の休日は何をしているんですか?

ドック中の休日はですね~。釣りをしたり、自転車でしまなみ海道を爆走したりしていましたね!
そうなんです!
ドック中の楽しみといえば、ドックのある土地の観光なのです!
特に瀬戸田は「しまなみ海道」と呼ばれるサイクリングロードがあり、広島から四国の愛媛まで行くことができるんです!
しかも「しまなみ海道」を広島から四国に向かう道中に因島などの各島々を堪能することができるという、まさに自転車乗りのメッカとなっております!
そんな「しまなみ海道」を自転車で堪能しつつ、各島々の名所などを巡ったり、気に入った場所を発見し、そこに入り浸ったりしていました。
楽しみは個人個人で違いましたが、若手の海上保安官は尾道まで自転車で行って「尾道ラーメン」を食べたり、三原から四国まで「しまなみ海道」を渡ってB級グルメの「焼豚玉子飯」を食べに行って帰ってくるという弾丸プチ旅行をするなど、ドック生活を満喫しておりました。
ドック生活の終わり

因島ドックでの生活が終わりを迎えようとしているころ、すっかり仲良くなったヤモさん(ヤカンからでてきたヤモリ)ともお別れの時がやってまいりました。

ドック作業や休日のプチ旅行から帰ってくると、いつも嫌な顔せず待っていてくれましたね。
連れて帰りたいのはやまやまですが、ヤモさんにはここでの生活があっていると思いますので、さようならを告げました。
ドック作業が終わり、一度海で異常がないか巡視船を走らせます。
問題がなければ因島ドックともお別れです。
運転状態にも特に異常がなく、巡視船も新造船のようにピカピカになりました。
気持ちよく因島を後にすることができます。
最終日の夜、居酒屋?なのでしょうか。
お店に入ると子供たちがお勉強しているというアットホームな場所でご飯を食べ、お酒を飲み、子供たちの勉強をのぞき見しながら最後の晩餐を楽しみました。

ああ、また来年のドックも因島がいいなぁ。
そんなことを思いつつ就寝。
次の日、因島ドックとヤモさんに別れを告げ、因島から旅立ちました。
最後に


今日からまた呼び出しや海難の日々かぁ。
まぁそんなにすぐには海難なんて発生しないと思うけど。
そんなことを思っている帰り道。
まもなく係留地にたどり着くといったところで無線が入りました。
〇〇沖〇〇マイル、漁船とプレジャーボートが衝突、直ちに現場に急行せよ。

なるほど、休んでいた分働けということですね。いいでしょう!こちとら元気が有り余っているんだよ!!
といったように、楽しんだ後にはそれなりに大変なことが待っているんだという世界の理を身に染みて痛感したドック帰りの出来事でした。
ちなみにこの海難は結構近くで発生しており、その日のうちに家に帰ることができました。
家に帰ってみると、私の車(軽自動車)は無事にきれいな状態で置いてありましたが、先輩の車(結構良い車)はタイヤが全部持っていかれていました。
ドック中は良い車を持っている人は、管理を誰かに任せたほうがいいかもしれませんね。

最近盗難のニュースも多いですからご注意を!!
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