
元海上保安官の「元海保」です!
今回のお話は「パワハラ会議」についてのお話です!

皆さんはドMですか?ドSですか?
勿論どちらでもない人もいると思います。
私も普段はどちらでもない普通の人間ですが、海上保安官をやっているときは、ドMとドSを使い分けておりました。

先輩や上席との飲み会に関してはドMとなり、海上保安官として取締業務などをする際はドSとなって、バシバシ海の平和を守っていた次第であります。
さて、今回のテーマにありますドMが集合して飲み会をやるという内容ですが、こちらは超絶パワハラ飲み会の話となります。

私が実際に体験したクレイジーな飲み会の話となっておりますので、パワハラや暴力行為が嫌いな方は閲覧注意となります。
海上保安庁パワハラ会議


それは私が潜水士をやっている頃の出来事です。
潜水士をやっていると、たまに特殊救難隊(通称トッキュー隊)や機動救難士の人達、または他管区の潜水士などと合同で訓練をすることがあります。
訓練内容はその都度違うのですが、大体は想定訓練といって、海難が発生して要救助者を救助する一連の流れを、ハイパーありえないだろ!?
っていう障害を乗り越えて救助する訓練となっております。

訓練でありえないほどキツイことをやっていないと、いざ実践で何もできなくなるので、訓練はハイパーキツイことをしています
この日はどことは言えませんが、特殊な救難をしている隊の人達が巡視船に技術講習をしにきており、合同で訓練をしていました。
(1年に1回か2年に1回このような技術講習があります)
訓練内容はフェリーが航行不能になり、要救助者をブリッジ救助という手法で巡視船に移動させる訓練をしておりました。
巡視船をフェリーということにし、岸壁を巡視船として、巡視船から岸壁にブリッジ救助をします。

ブリッジ救助??

ブリッジ救助とは、移動したい場所から移動する場所にロープを張り、そのロープに救助器材を設定して、要救助者を移動させる救助方法となっています。
救助チームを、「巡視船乗り込みチーム」と「岸壁で待ってますチーム」の2つに分け、いざ訓練開始!
クレイジーレスキュー

乗り込みチームは巡視船から岸壁に係留してあるホーサーをよじ登り侵入、侵入後要救助者を捜索、ロープを展開、ブリッジ救助の準備、救助の流れで順調に進んでいきました。
しかし、そんな簡単に終わらないのがドS部隊の技術講習。

要救助者の残り1名が中々見つかりません。
岸壁待機チームが救助した乗組員から情報収集すると、機関員が見当たらないとの情報が得られました。
乗り込みチームが機関室に向かい捜索を開始すると、要救助者を発見。

なんでそんなところに挟まって気絶しているんだ!!
という状況の機関員を発見。
狭い狭い場所の狭い狭いタンクの間に挟まっておりした。
挟まっている男性(推定30代前半)に声をかけたところ、開眼し意識はハッキリしているようでしたが、足の骨を骨折している状況でした。
乗り込みチームは要救助者を挟まりから救出、骨折部の固定、機関室から搬送、ブリッジ救助を実施し、訓練終了。
流石にヘトヘトになっておりました。

乗り込みチームは大変だなぁ
私は勿論岸壁居残りチームの一員として、この訓練チームによって訓練内容に差がありすぎだろ。って思いながら訓練に参加しておりました。
訓練が終了し、機材の片付け、訓練のデブリーフィングを実施。
問題点や今後の課題などを議論しつつ技術講習は終了しました。
接待

技術講習が終了すると、巡視船の潜水士が特殊〇〇隊の接待を実施することが恒例行事となっており、この度も漏れなく接待を実施することと相成りました。
参加者は潜水士含め、潜水士希望の若手と希望者となっておりますが、希望者はほとんどいません。

来ない理由はもちろん、、、
(ご想像にお任せいたします)
そして私たち若手は先に宴会場に赴き、接待の準備をする者、ご来賓の皆様を会場までエスコートするエスコーターに分かれてせっせと働きます。

そう、訓練でクタクタになっていようとも!!
時はきた
宴会会場に参加者が揃い、宴の挨拶を突然無茶ぶりされる若手の拙い挨拶から宴会がスタート。

最初はお酒を注ぎに周り、ヨイショ。

訓練ありがとうございました周りでヨイショ。

勉強になりましたとヨイショ。
そんな昭和的なノリをこなしてようやく一息つくことができます。
ここでガッツリ食べて、この後の地獄に備えます。ここで食べておかないと体がもちません!!
なので若手はガンガンここで攻めていきます!

なんか、絶対に行きたくない

ですよね、、、
最初のうちは訓練についてだったり、今後の進路について語ったり、なかなか楽しい飲み会なのですが、ここにいる連中はそんな生易しい飲み会で終わるような人間ではありません。
ここにいる連中はクレイジーなドSかクレイジーなドM、それに淘汰される軟弱種しか存在しないのです。
クレイジー飲み会


さて、なんか余興とかしちゃう!?

始まった。クレイジータイムに突入してしまった。

じゃあ、とりあえず日本酒一気に飲んでっちゃおうか!お前らの顔も名前も覚えてないから、名前と今後の行きたい部署、意気込みを言ってから一気しろ!

初っ端から日本酒一気飲みだと!?

狂ってるよ!

お前ら全員狂ってやがるよ!!
そんなカイジのように絶望と怒りに打ちひしがれていると、最初のブレイブメンロードを渡る人間が発表された。
潜水士希望の田中君(仮名)だ。
彼は冷や汗をかき、声も裏返りそうになりながら自己紹介を決行!

将来は特殊(ピー)隊に入隊したいと思っています!
よろしくお願いします!!
と叫び、日本酒を一気飲み。
ぶへぁ!!
ほとんど飲むことなく終了。
上級国民(海保のレスキュー隊の中のみ)達から大ブーイングの嵐!

お前なんか潜水士なれねーよ!
根性なし!!
と罵詈雑言が飛び交う中、次、また次と犠牲者が増え日本酒が宴会場を乱れまわっておりました。
あるものは暴言を吐きちらされ
あるものはビール瓶で叩かれ
あるものは逆立ちの体制にされ、口に瓶ビールを突っ込まれて鼻からスプラッシュマウンテン
あるもの(私)はパンツ一丁にさせられ、魚の活け造りの食べ終わって串にささった魚を手渡され、パンツとケツ筋で串を折れと言われ、魚がピチピチしている串をお尻で割らされました。

なんとか串を折った私は評価され、入隊を進められましたが、こんなクレイジーな隊に入りたいドMが今この場にいるわけないだろうが!!
と言ってやりたかったですが、

ありがとうございます!!
としか言えない悲しき縦社会
若手を散々いじり倒して満足した上級国民の皆様は、終始ご機嫌で宴会の幕が閉じました。
最後に

その後、2次会、3次会とスナックやらラーメン屋やら同じような地獄絵図を繰り返し、ようやく解散。
潜水士の若手、潜水士希望の将来有望な海上保安官が日の出を眺めながら、ホットコーヒーを口に運ぶ。

先輩、自分潜水士になるの辞めます!

そうだな!それがいい!
泣きながら今日という日の労を労い、抱きしめあった悲しい青春。
来年も同じことをしているということを、この時はまだ誰も知らなかった。
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