皆さん、海上保安庁は消防とよくコラボレーションするってご存じですか?
そんなコラボの話を過去記事に書いてありますので興味のある方はそちらをご覧ください!

皆さんは救急車に乗ったことはあるでしょうか?
おそらく事故や体調不良によって救急車にお世話になったことがある人がいるかと思います。
知っているとは思いますが、救急車に乗っている人達は消防士さんなんです。
正確に言えば消防士さんの救急課程をクリアした人たちで、その中に救急救命士の資格を持っている方も含まれているんです。
海上保安庁と消防のレスキュー魂!

海上保安庁には救急車がないんですが、ヘリコプターで救助してそのままヘリポートのある病院に搬送したり、航空基地から救急車に引き渡して搬送するなどしているのですが、海上保安庁の職員(機動救難士や特殊救難隊)にも救急救命士の資格を持っている隊員がいるんです。
ただ救急救命士の資格を取るには膨大な時間と費用が掛かるので、全員がその資格を保有しているわけではないんです。

どのくらいの時間とお金がかかるんですか??

期間は約2年間と費用は年間100~200万円くらいかかるそうです。
そうなんです。
海上保安庁も消防もそこまで予算があるわけではないし、人員も不足しておりますので、そんなに多く救急救命士の資格を取りに行かせることができないのが現状です。
そんな中消防には救急車に乗るための資格として、部内で救急課程の講習を行っているのです
(私がいた管区はそうでした)
特に海上保安庁にはそのような講習がないため、私のいた管区では消防の救急課程に参加させていただき、一緒に救急の勉強をさせていただいていたのです!
消防の救急課程に参加

私が機動救難士に配属され半年ほど経ったころ、上席から消防の救急課程に参加するよう指示されました。

おい、消防の救急課程に参加して勉強してこい

え!?いつからですか??

来月からだ!ちなみに成績が悪かったら除隊な

パワハラや、、、
そんなやり取りがありつつ私は消防学校に研修しに行くことになりました。
消防学校では現役消防士の方々が、救急車に乗るために救急課程を受講しに来ており、現場にでてしばらくたっている人から、現場に出てすぐの若手など様々でしたが、海上保安官は私一人。
完全なアウェーの中、研修がスタートするのであった。
消防学校にて救急講習を実施するのですが、こちらの実習平日は消防学校の寮内に泊まり込みになっており、毎日お勉強三昧となっております。
日中はお勉強三昧なのですが、現場に出ていることもあり夜は比較的自由となっており、外出もOKとなっておりました。
なのでそこまで大変なわけでもなく、またお勉強も難しくはありましたが、そんなに厳しいというわけではなかったので、精神的にはとても楽でした。

勉強はどんなことするんですか?

そうですね、内容について今からご説明いたします!
講習内容を覚えている範囲でご説明いたします。
(結構前なのでざっくりになります)
・JCSやGCSについて
・血圧の計り方
・初期観察
・想定訓練
・病院研修
・ドクターヘリ見学
のようなことを座学と実習にて行います。
そして毎日座学の試験が実施され、成績が貼り出されるという晒上げにあうのです。

難しそう、、、

難しいですが、これを覚えないと人を助けられないのです
海保の意地

消防学校にお世話になる際に、海保さんはお客様!感が凄かったのと、まぁ、こっちはプロですから!
みたいな雰囲気を講習教官から感じ、一緒に研修を実施する現役消防官達からもそのような雰囲気を感じておりました。

いいですね海保さんは、救急車に乗らないから、講習も結構遊び半分でしょ?

いえいえ、一生懸命勉強させていただきます!
内心はらわたが煮えくり返っておりましたが、ここは海上保安庁の看板を背負っておりましたので、笑顔で対応。

みとけよ、海保の力、いや、俺の力をみせてやる!
消防士のあの一言をきっかけに私は頭が悪いのですが猛勉強に猛勉強を重ねました。
課業後にみんなが飲みに行っているところを寮でひたすら勉強し、毎日のテストで満点の山を築き上げました。
最初は面白がっていた消防の人たちも、何日か連続で満点をたたき出しているのが海上保安官だけだと知ると、教官から研修生まで焦りを覚えだし、状況が一変しました。
毎日のように外出していた消防士たちも寮で勉強を始め、お互いに切磋琢磨し始めました。
打倒海上保安庁!
完全にそんな雰囲気となっていましたが時すでに遅し。
初日から小テストで満点を出し続け、実技においてもミスすることなく、想定訓練においても山を張っていた部分が出題され、すべてにおいて満点を取ってしまった海上保安官を誰も追い抜くことはできませんでした。
ただ、打倒海上保安官という流れからか、例年にも増して成績の良い期となったらしいので、そこはお互いにとって良かったのかもしれません。
優秀賞獲得

そんなこんなで最後の試験も終わり、最後には教官も含めて飲み会が開催された。
その飲み会では今回の期はかなり優秀な成績者が多かったこと、海上保安官が参加したことによって違った緊張感があったことなど教官が嬉しそうに話していた。
最初はお客様扱いだった私が、いつの間にか研修中のダークホースになってしまったのは大変申し訳なく思ってしまいました。

海保さん、生意気なこと言ってすみませんでした。

いえいえ、私もやる気が出たので感謝しています!

また現場で会うことがありましたら、よろしくお願いします!

こちらこそ!!
そして次の日、修了式の日の出来事。
会議室に研修生全員が集合し、最後の集会が開かれていると、今回の首席研修生の発表となった。
消防士全員を差し置いて海上保安官が首席となり、前に呼ばれて賞状を授与。
周りがみんな祝ってくれたのが救いでしたが、微妙にばつが悪い感じでした。
最後に

そうして消防学校での研修を終え、救急の知識を身に着け機動救難隊に復帰。
まさか首席で帰ってくるとは思っていなかった上席たちはものすごく驚いていましたが、全然褒めてはくれませんでした。

むしろ調子に乗んな!

じゃあもう救急は完璧だね?
なんて言ってくるもんだから困ってしまします。
そんなこともありましたが、嬉しいこともありました。
ボーナス査定の評価が
「極めて優秀」
という最高ランクをゲットし、その時のボーナスはなかなか良いものでした。
皆さんも海上保安官になって、潜水士になり、機動救難士か特殊救難隊になって、他機関との訓練、研修で良い成績を収め、ボーナスをゲットしてみてはいかがでしょうか?

え?頑張りに対して見返りが少ない??
それは当然です。
公務員にロイヤリティなんてものは存在しませんし、お金持ちになる為、安定したいためになるもんじゃないんです。
海上保安官になる理由は、非日常を経験するためなんです。
ただそれだけです。


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