
元海上保安官の「元海保」です!
今回のお話は「要救助者体験」のお話です!
夏の時期の海はとても気持ちよく、火照った体を冷やしてくれますよね。
(入りすぎると寒くなってきますが)
最近はだんだんと暑さも収まってきており、海に入ると

「寒ぅ!!」
ってなるかもしれませんが、ダイビングをやる方にとってはベストタイミングな時期かもしれませんね!


しかし、これから冬にかけてどんどんと水温が下がってくる時期となっております。
沖縄や温暖な地域に関しては、そこまででもないかもしれませんが、北海道や東北なんかは冬の海が、
冷たくて、冷たくて、震える

むしろ凍るような水温となっております。
要救助者の気持ちを理解しよう

現役潜水士の時は、ドライスーツなんか着ながら潜っていたので、なんとか我慢できていましたが、顔と手が、
冷たくて、冷たくて、震える

むしろ硬直するような感じとなっておりました。
真冬のとんでもない寒い日のこと、潜水班長がこう言いました。

お前ら、真冬の海に落ちた経験はあるか?
皆、首を横に振りました。

よし!じゃんけんしろ!
突然のことでしたが、班長の号令の下、潜水班全員でじゃんけんを行いました。

負けたのは私。嫌な予感がする。とてもとても嫌な予感がする。
要救助者体験


よし!お前が要救助者な!今日の夜間訓練は真冬に海に落ちた要救助者を岸壁に吊り上げて搬送する訓練をやるぞ!
岸壁に停泊中は、夜間に訓練をおこなったり、岸壁を使った救助訓練などを行っていたが、今回の訓練は、救助する隊員より要救助者役が一番危険か辛いと瞬時に確信「死」ました。

班長!ウエットスーツは着ていいのでしょうか!?

そんな要救助者がいるか!!ジャージだボケぇぇぇぇぇぇ!!!
血の気が引きました。とてもとても引きました。。。。

ドライやウエットスーツを着てても寒いのに、、、この海をジャージだと!?
狂ってやがる、
どいつもこいつも狂ってやがるよ!!
そんな某有名漫画のセリフが頭をよぎりましたが、訓練なのでやらないわけにもいきません。
他の潜水班のメンバーがすぐに救助してくれると信じ、死装束(ジャージ)に袖を通す。
脳が覚醒する瞬間

いざ夜間訓練が開始、班長が訓練説明を行い全員配置につく。
そして岸壁から飛び込むため待機していると、

おい、なにやってるんだ?船首から飛び込むんだぞ?

ん?船首?なんで?溺れるだけでしょ?

船首から飛び込んだら恐怖心もあるし、結構冷たいし、リアルに溺れる人の気持ちがわかるから、、、行け

鬼畜や。本当に溺れたらどうすんねん。っていうか夜間の船首飛び込みジャージでやるのめっちゃ怖いわ。
プチパニックを起こしながらも船主へ到着。
真っ暗で極寒の海に自ら飛び込むなんて。
班長の合図の元、飛び込みを実施。

アムロいきまー----す!!
海の中に入った瞬間、全身に電気が走ったかのような感覚。
脳がバキバキに冴えわたるような感覚。
と同時に思ったより深く潜ってしまったので、慌てて海面に戻る。
「OKでー--す!」
私の生存確認をした救助班がすかさず救助訓練を開始。
すぐに海面に飛び込んできてくれて私を確保してくれました。
要救助者の気持ち

しかし、吊り上げの準備に時間がかかり、体は冷える一方。
しかも、私を確保している救助員がよく動くので、冷水がバシャバシャ私の体温を下げていく。
寒いのに何故か冷や汗が出るような感覚、神経がやられているとしか思えない恐怖。

もういい!!梯子降ろしてくれ!自分で昇る!!今ならまだできる!もう少ししたら、体が動かなくなりそうだ!!
そんな私の必死な訴えも潜水班長が一喝!

それじゃ訓練になんねぇだろうが!!早く吊り上げないと要救助者が危険だぞ!
潜水班も一喝され、なんとか吊り上げを開始。
岸壁に吊り上げられ、ストレッチャーにてお風呂に搬送されたました。
ガチガチになりながら入るお風呂は格別であり、幸せとは辛いことを乗り越えた先にあるのだということを実感した瞬間でした。
最後に


今回の訓練で感じたことはこちらです!
真冬の海に落ちたら、
助かる可能性は低い。
ということでした。
皆さんも釣りなどで真冬の海の近くに行く際は、落水しないように注意してください。

ライフジャケットとスマホ、万が一落水したときように、岸壁に戻れる方法も考えておきましょう。
(梯子のある位置を確認しておきましょう)


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