
元海上保安官の「元海保」です!
今回のお話は「巡視船の怪奇現象」についてのお話です!
巡視船勤務の時に起きた出来事についてお話いたします。

もしかしたら、巡視船に限らず、船に乗っている人にとってはあるあるかもしれません。
巡視船の業務の中には、下っ端(ボットムと呼ばれる)がやる仕事が多く存在します。
・食事の配膳、食器洗い
・風呂掃除、風呂の準備
・トイレ掃除
・船内の掃除
などなど、当たり前といえば当たり前の仕事があります。
丁度私の下に3人ほど機関士補の若手がおり、その中でも一番新人の子が風呂当番をやっているときのことでした。
巡視船で起きた怪奇現象

その日は時化ており、巡視船もグラグラぐらぐら揺れていました。
そんな中、普段そんなに話しかけてこない船長が私を呼ぶ声がしました。

〇〇君。今お風呂に入ろうと思ったんだ。

はい。

そうしたらね、風呂のお湯が入っていないんだ。

大変申し訳ございません!すぐにご用意させていただきます!

うむ、苦しゅうない
といった流れのあと、すぐにお風呂を確認しに行くと、あら不思議。

お風呂の水が入っていないじゃありませんか。
原因は自然の力であった

船長にお風呂の水がないと言われましたが、新人の機関士補は真面目で、風呂の入れ忘れなんて今までしたことはありませんでした。

風呂の栓でも締め忘れちゃったのかな?
けど、お湯の量確認しながら入れるし、そんなことないよな?
そんな疑問を感じながらお風呂の状況を確認するため、お風呂までスキップしながら向かいました。
お風呂に到着すると、確かにお風呂の水が無くなるという怪奇現象を目の当たりにしましたが、よく見てみるとあることに気が付きました。
おそらく揺れでお湯が吹き飛んだんだろうと思うような床のびしょぬれ感。

ん~、犯人は海そのものですね~
ん~、今日は時化ていましたからね~
すぐさま揺れても平気なくらいまでお湯を入れ直し、船長をお風呂へご案内した。
そんなやり取りがあったことを新人に伝えるべく、後輩の部屋に突撃すると、そこには船酔いでグロッキー中の新人海上保安官(機関士補)が倒れていた。
限界を迎えた機関士補


大丈夫か新人?

ダメです

風呂やったか?

やりました

船傾斜10度以上あるのに、いつも通り風呂いれたのか?

いれました

そうか、水全部吹っ飛んでたぞ

私の意識も吹っ飛んでいました

そうか
(こいつ!完全にダメになってやがる!!)

申し訳ございません、すいません。もうやりません、ごめんなさい

わかった。とりあえずトラベルミン飲んどけ

ありがとうございます
最後に


といった感じで、船酔いというものは、正常な判断を狂わしてしまうほど辛いものなんですね。
しかもですね、お風呂は早めに用意しておかないと、大変なことになってしまうんです!
お風呂は船長から順番に入っていくため、船長の風呂が遅くなると、我々下っ端に回ってくる時間が遅くなり、休む時間も無くなってきてしまうのです!
なので、風呂準備はとても重要な任務といっても過言ではありません。

え?下っ端が入るころには風呂がとんでもないことになってそう??

ええ、夏場なんて風呂がヘドロみたいになっていますよ。。。



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