
皆さん!元海上保安官の「元海保」です!
今回は巡視船の「お仕事」についてご紹介します!
海上保安庁の機関科がどのような業務をしているか気になりますか?

ズバリお答えします。
機関科の仕事は巡視船のエンジンを起動し、巡視船のエンジンを整備したりするのが主な仕事になっています。
海上保安庁の簡単な業務説明
①航海科
航海科は巡視船を車に例えるとすれば「運転手」の役割となっており、巡視船の操船をメイン業務としております。
その他にも巡視船のペンキ塗りや水の補給なんかも航海科の業務となっております。

実は航海科の最大の業務はトイレ掃除です。
②機関科
機関科はまたまた車で例えると「車のキー」の枠割りとなっており、巡視船を動かすためのエンジンを起動したり、その他には船内の電気を使えるようにするため船内発電機を起動したり、お風呂や冷暖房の管理まで行っています。

しかし最大の仕事は風呂掃除です。
③主計課
今回は特に車に例えませんが、他で例えるなら「食堂のおばちゃん」です。
働く海上保安官の為に朝昼晩と美味しいごはんを作るお仕事になっております。
ただ入出港の時は、航海科と一緒に甲板作業もするというマルチプレイヤーとなっております。
階級や役職について
簡単に科別の説明をさせていただきましたが、その他にも「通信科」というものもあり、主に無線連絡などを業務にしております。

そんなざっくりとした業務説明をさせていただきました!

かなりざっくりですね。質問してもいいですか?

どうぞどうぞ。

色んな科があるんですけど、「船長」ってどの科でもなれるんですか?

良い質問ですね!答えは「NO」です。航海科しかなることはできません。

じゃあ機関科は階級的にどの地位までいけるんですか?
機関科は巡視船のNO2「業務管理官」という役職に就くことができます。
階級でいうと船長と同じ階級なんですが、まぁ巡視船では2番手っていう位置づけですね!
どの科が良いのか?
階級や役職について航海科しか船長になれないと説明したんですが、船長になりたければ「航海科」を選択するもよし、エンジンが好きなら「機関科」など、役職とかにあまりこだわらずに自分の気になる科を選択するのが良いかと思います。
結局「陸上」に上がったときにはあんまり「科」なんて関係なくなりますから。
機関科の業務説明
機関科の業務を簡単に説明すると以下の通りとなります。
・巡視船の発電機を起動
・船内電源と陸上電源を切り替える
・主機(メインエンジン)起動
・出港後、機関室の見回り
・航海中、ボイラーなどの補機の管理
・入港時は出港と逆手順
のようなことをおこなっております。

正直よくわかりませんよね?

ちょっとわからないです。

簡単に言えばずっと機関と過ごしてるってことです。

もっとよくわかりません。

では私のちょっとしたエピソードトークにて機関の仕事に触れてみたいと思います。
機関室の孤独な闘い
海上保安官は下っ端(ボトム)の期間が非常に長いため、何年も雑用をやり続けることになります。
それは機関科も航海科も関係ありません。
後輩が海上保安学校から出てきても、結局ワッチを組むのは主任や首席、あるいは機関長だったりするわけです。
大型船の場合は3人ワッチとかもあるので、何年か経っていればボトムから抜け出すことができます。
そんなボトムの仕事はワッチ中のコーヒー出しであったり、船橋の飴やガムの補給であったりといったものがあります。

それも科とかは関係ないんですか?

そのワッチの一番のボトムがやることになりますね。
勿論機関科のボトムは機関科のボトム作業があります。
ちなみにこんな感じです。
・ワッチ中の機関室見回り
・ボイラーの起動、停止(ワッチの時間による)
・機関の油補給
・機関日誌を書く
などなど、他にもウエス作りなんかもあります。
ボイラーを起動しよう
とある日にナンバン(主任機関士)とワッチをしているときのこと、そのワッチは4~8ワッチといって朝4時から8時までのワッチと、夕方4時から8時までのワッチとなっておりました。

ワッチとは簡単に言いますと見張りです。
航海中であれば、その時間に運航していることです。
その時は海に停泊しているときのことでした。
夜中のワッチの為かなり眠たかったのですが、主計課がご飯を作るために「蒸気」が必要な為、ボイラーを起動しなければなりません。

おい、ボイラー起動してこいや

わかりました!粋の良い蒸気を主計科に届けてきます!
そういって私は機関室に向かいました。
ボイラーに異変
いつも通りボイラーを起動するため機関室に到着。
ボイラーの前に立ち、いつもと変わらず起動を開始。
ちなみにどの機関もそうですが、スイッチを押して「ハイ終わり!」ではないんです。

そうなんですか?

暖気運転だったり、起動してからも少し使えるまでに時間がかかるんです
ボイラーも同じで、起動してから水が循環したり暖まったりなどを待たなくてはなりません。
待ってる時間は大体暇なので近くで「懸垂」をしたり「見回り」をしたりして時間を潰すことがほとんどです。

もうそろそろいいかな?
そう思いボイラーの水面計を見てみると、水面計の根元から水がポタポタこぼれ出していました。

なんだよ、パッキンにヒビでもはいったのかな?
スプラッシュマウンテン発動
ポタポタこぼれる水を止めようと、今回はパッキンがまだ「持つ」と思い水面計の根元部分をスパナで締めこんだその時事件は起きました。
パキっ
その音と同時に水面計の根元からやや熱い、いや結構熱いお湯が私に襲いかかってきました!
慌ててボイラーの電源を落とし、水の吹き出しを止めることが出来ましたが、全身びしょ濡れ、しかも熱い。
そして水面計はぶっ壊れていました。

なんで俺はあの時水面計のパッキンを交換しなかったんだ!!

横着したんですね
そうですとも!朝からそんなに働きたくないという人間の本能でしょう!!
辺りは水浸し、自分も水浸し、ボイラーも水浸し。
そしてボイラーの水面計も替えなくてはいけない。
横着するとこうなってしまうという反面教師にしてください。
作業を終えた私に一言
その後無事に作業を終え、なんとか主計科の作業時間に間に合わすことができ、ナンバンの元へ戻ると、ナンバンから一言殺意を覚えることを言われました。

スプラッシュマウンテンみたいだったな(笑)

き、貴様!見ていたのか!見ていて手伝いもしないで笑っていやがったのか!!
怒りで手から「ウルヴァリンのアダマンチウムの爪」が先端まで出ましたが、何とか感情をコントロールし、制御することができました。
機関科を目指している人へ
私の体験談を含めて機関科の業務内容をざっくり説明させていただきましたが、正直よくわからなかったのではないでしょうか?
詳しく説明してしまうとかなりの内容となってしまうことと、かなりつまらない内容になりかねないので、今回はこれくらいにしておきたいと思います。

ただ一つ言えることは、機関科は面白い!ということです!


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