
皆さん!元海上保安官の「元海保」です!
今回のお話は「テレビ出演」についてのお話になります!
海上保安庁に勤めていると、ローカルテレビの取材や、皇室の方と会ったり、政治家の人とも会ったりすることがあります。

私は麻生大臣に会ったことがありますが、凄いオーラでした、、、あの人はおそらく強化系の能力者か特質系の能力者かと思います。
私が乗っていた船は潜水士が乗っている船ということもあり、多々そのようなイベントがありました。
そんなある日、新人潜水士が潜水士を任命され、初めての訓練を行うということで、ローカルテレビの取材がやってきました。

新人潜水士の訓練は別記事でも紹介しております!
ローカルテレビに残る黒歴史

新人潜水士の任命式から撮影が入るということになり、絶対に失敗するんじゃないぞ!
といった雰囲気の中、船内でリハーサルをしていたときのことでした。
もともと緊張しやすい後輩は

ガチガチに緊張
しており、

これは何かやらかしてくれるだろうな!
という期待で胸がいっぱいとなっておりました。
(私を含め潜水班全員)
まずは任命式の撮影があるとのことだったので、入念にリハーサルを繰り返し、ミスすることなくリハーサルを終えることができました。
緊張のテレビ出演

いざ本番の任命式の際、汗だくの後輩をみて笑いをこらえるのが大変だったことを今でも思いだされます。

ローカルテレビの取材のカメラ、リポーター?
なのか取材をしてくれるスタッフの方が見守る中、とうとう任命式にて後輩の見せ場がやってきました。
潜水士の任命をされるために、保安部長の前に行進する後輩の手と足は一緒になっており、曲がり方もリハーサルとは違う形となっておりました。
任命証を貰うときにわちゃわちゃし、帽子を被っているのに敬礼で頭を下げる暴挙。

こいつ!!
俺たち乗組員を爆笑させて、任命式をやり直させるつもりか!?
なんとか笑うのをこらえきった我々も、任命式をしていた保安部長も疲労困憊。

この後の公開訓練でも絶対何かやらかすぞこいつは!!
そんな不安と期待を胸に、いざ訓練が開始されました。
緊張の訓練開始

さて、任命式が終わり、諸先輩方からお叱りを受け、緊張度と焦り度がMAXに高まった後輩。
この先の訓練は無事クリアできるのでしょうか。。。

新人潜水士、現場での初訓練は以下の通りとなります。
①船首から海面へ飛び込み
②ロープを使って海面から船首に登る
③船首から海面へ飛び込み
④船の係留索(ホーサー)を使って船に戻る
⑤要救助者に海面で全面マスクを着用させ、岸壁まで運ぶ救助訓練
内容が盛りだくさんに見えますが、1時間もあれば終わる訓練内容となっております。

岸壁にカメラマンや数名の地方アナウンサー?
が集まり、新人潜水士に意気込みを取材。
何とか事前に準備していた内容でスムーズに答え

ドヤ顔。

この調子で訓練も格好良く頼むぞ!
先輩潜水士が先に訓練を開始、説明して手本を見せて新人の順番という流れとなっております。
ここからは長くなるので、ダイジェスト風に起きた出来事を説明いたします。
船主から飛び込む際、カメラマンがいるにもかかわらず躊躇、5分後飛び込みを決意。
飛び込んだのち、マスクとシュノーケルが外れあたふた。

申し訳ございません!
ロープを使って登ろうとするも、滑ってしまい少しも登れず岸壁にはしごで上がる。

申し訳ございません!!
時間がもったいなかったので、ホーサーを使って船に戻るも途中で海に落下。

申し訳ございません!!!
再度ロープを使用するも腕パンにて失敗。

申し訳ございません!!!!

なんだこの漫画みたいな状況
本当にこんなことってあるのか?事前に少しは練習したじゃないか。
地獄絵図

カメラマンも取材の人も困った顔をしている。

確かに面白いけど、放送できるのかな?
そんなことを考えながらも、

最後の救助訓練でバシッと決めれば結果オーライだ!
と前向きな班長。
青鬼となった新人潜水士と、赤鬼となった保安部長。

まさに地獄絵図。
そんなこんなで、最後の救助訓練がスタートしました。
私は要救助者役で海面で待機、新人と先輩潜水士の2名で私を救助するという流れで、想定としては船の中で閉じ込められた人に、全面マスクという顔全体を覆って空気を吸うことのできるマスクを着用させ、船から岸壁に救助する訓練となっておりました。
訓練開始後、船内に閉じ込められている私のもとに潜水士が2名到着、救助の旨説明を行い、いざ全面マスクを着用させることになりました。

ここから私の地獄が始まったのでした。
こちらの話も長くなってしまいますので、ダイジェスト版で御送りいたします。
全面マスクを着用してくれたのだが、ボンベが開通していなく、呼吸ができない。
カメラマンなども見ているので、新人と先輩に空気が来ていない旨ジェスチャーにて伝える。

息できない!
それに気づいた新人が慌てて開通させるも全面マスクが緩んでいたため爆音でエア漏れが発生。

耳痛い!
さらにパニックになり、全力で全面マスクのベルトを締めるも、左右非対称のためエア漏れが止まらないし、痛い。

耳ちぎれる!!
それでもカメラがあるので、痛いのを我慢。
苦しいのも我慢。

がんばれ、頑張ってくれ!!
そんな気持ちで耐えていましたが、そのまま水中に私を連れて行こうとしたので、そこは全力で止めさせていただきました。

死んでまうやろ!!
とは言いませんでしたが、小声で「やりなおせ」と伝え、先輩潜水士に「少しはカバーしろ」とキレ気味に伝えました。
しかし、何度やっても漏れてしまうので、カメラマンの目を盗み、自分でマスクを着用。
なんとか自分自身を救助することに成功し、水中でも自分で泳いで岸壁まで辿り着き、なんとか訓練を終えることが出来ました。
最後に

とんでもない疲労感の私を横目に、訓練を終えて取材を受けている新人が妙に清々しい顔をしているのに殺意を覚えた出来事でした。

後日談ですが、この潜水士は1年で引退。
テレビ放送については超上手い具合に編集されておりました。

皆さんも海上保安官になってテレビデヴューしてみませんか??


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