
元海上保安官の「元海保」です!
今回のお話は「とんでもない人材」についてのお話です!
皆さんは身近で突然とでもないことに気づいてしまった経験なんてありませんか?

例えば恋人が浮気していたとか。

その浮気相手が友達だったとか。


会社で偉そうにしている上司が、取引先で無能と罵られているとか。
海上保安庁にも似たような事例が多く存在しております。
機関士補の現場出たての女の子が、主任機関士と不倫関係になったり、救難業界で凄くても、レスキューを引退したら他の仕事は何もできなかったり。

まだまだ色々ありますが、今回はその中でも私が一番衝撃を受け、一番腹立たしかった事例をご紹介いたします。
海上保安庁の隠された真実


あれは私が現場に出て一年くらいのときでした。
海上保安官としてまだまだ未熟であり、機関科として知識も浅い時でした。
ただ、停泊当直に入ることもあり、海難が発生した場合に、船員が船に集まるまでに最低限の準備ができるよう、発電機の起動、並列運転、陸電切り替えなどはできるようになっていました。

現場に出て1ヶ月経たない船内居住中に、一度海難が発生したことがあるからです。
その時もなんとか船内電源に切り替えることができたが、誰も褒めてくれませんでした。

機関科ならできて当たり前
確かにそのとおりです。
当直に入るということは、海難が発生したときに、一人で対応出来るということ。
対応できないのであれば、それはただのお飾りとなってしまうからです。
横暴な上司

PM巡視船は大体4日から5日間海の上で業務を行います。
(船によっては毎日入港したりします)
その時は5日間の業務を終え、午前中に入港。
入港後はファンネルの掃除をしたり、燃料を補給したりしていました。
全ての作業が終わり、夕方17時過ぎに解散がかかりました。

当直以外は下船を許可され、また出港日に集合します。
このときの当直は航海士と主任機関士(ナンバン)でした。
挨拶をして下船しようとすると、ナンバンから呼び止められます。

おい、風呂掃除して風呂入れて、ボイラー止めてから帰れ。あと、機関室巡検しとけ。

え?それは当直の仕事ですよね?風呂は洗ってあるので、好きなタイミングでお風呂入れてください。

ああ!?舐めんてんのか?ボットム何だから言われたことやってればいいんだよ!
この船の暴君ことナンバンに因縁をつけられ、渋々作業を実施。
気がつけば時間は19時となっていた。

せっかくの入港日に当直でもないし、船内居住期間も終わっているのに、なんでこんなことやらされなきゃいけないんだよ。
そんな苛立ちこそありましたが、私はボットム、文句を言える立場でもないのであります。
作業を終え、ナンバンに報告すると、

おう、じゃあ帰れ。
怒りを我慢し、下船。
その日はストレス発散の為、下船時にいつも食べるカツ丼に+αして、ミスター・ドーナツを爆買い、爆食いたしました。
(私は単純なので、すぐイライラが収まりました)
その後家でまったりしつつ就寝。
衝撃の緊急出港

、、、
、、ギュイーン
ギュイーン、ギュイーン!

うわっ、船から着信だ!海難か?
(船からの着信は聞き逃したらまずいので、驚くような音にしておりました)

もしもし、〇〇です。

海難が発生したから帰船してくれ。

わかりました、すぐ行きます。
悪い予感的中。
私の家は船から近い場所にあったので、出港作業のイメージをしながら自転車にて急行。
船に到着するも、違和感を感じました。

船が静かなんです。
発電機の音がしない。
出港取り止めになったのかな?
そう思った私は船内に入り、当直のいる公室に向かいました。

お疲れ様です!出港なくなったんですか?

いや、出港するけど、機関室なんかトラブルかな?船内電源に切り替わらないんだけど。
さっきまで問題なかったはずの発電機が動いていない?
そんなはずはないと思い、急いで機関室に向かいました。
機関室に到着すると、発電機の前で直立不動しているナンバンがいました。
ナンバンは青ざめた顔をして、ぶつくさ何か念仏を唱えているかのようでした。

お疲れ様です。何か異常ですか!?
そう話しかけると、我に返ったナンバンが私に向かって叫びました。

遅ーーよ!早く発電機動かして船内電源に切り替えろよ!
と怒鳴りつけてきました。
流石に言っていることがおかしかったし、深夜の呼び出し、海難の発生という状況に、私もピリピリしていたので、強めの口調で反論しました。

いや、あんた当直だろ!何やってんだよ!切り替えくらいやっとけよ!こんな時まで威張ってんじゃねえぞ!!っていうかバルブとかも開いてないじゃないか!あんた今まで何やってたんだよ!
流石のナンバンも何も言えなくなり、モゴモゴしていましたが、こんなことしている場合ではなかったので、バルブを開け発電機を起動、並列、船内電源に切り替え。
その一連の作業が終わる頃には、他の機関科も集まり無事に出港することができました。
とんでもない人材は機関科にいた

この出来事を機関長に報告し、船内でも大きな問題に発展しました。
ナンバンは若手に対応させたかった。
わざと作業を残しておいたと主張していましたが、私は納得がいかなかったので、機関長と船長に海難対応終了後に、緊急出港要領をナンバン一人にやってもらうよう直訴しました。
船長もにわかに信じられないといった表情ではありましたが、承諾してくれました。
そして、海難対応が無事終了し入港。
入港後、ナンバン一人で緊急出港作業をすることを指示され、慌てふためくナンバン。

なんで俺がそんなことやらなきゃいけないんだ!
そう言って荒ぶっていましたが、周囲からの冷たい眼差しに気がついたのか、急に大人しくなり、作業がわからないと告白しました。
海水バルブの位置も把握していない
なので発電機も動かせない
ということで電源も切り替えれない
という人が巡視船のナンバンをやっておりました。

誤解しないでいただきたいのが、このナンバンがかなり特殊であり、他の巡視船のナンバンは、変な人もいますが、知識や技能はしっかりしている人がほとんどでした。
そしてこのナンバンの驚くべきところが、その後も巡視船に乗り続けたというところです。
普通は依願退職したり、異動になったりするのですが、退職は断固拒否!

問題児なので陸上にも居場所が無い。
そんな理由から、巡視船に勤務し続けることになりました。
最後に

勿論ナンバンの役職からは外され、ただの機関士にはなり、若手と同じような作業をやらされるようにはなりましたが、何も言えないような若手を見つけては威張り倒す、巡視船の癌として存在し続けました。
私は潜水研修に行くことになり、船から異動になったので、ここで関わりが終わりましたが、風の噂で定年まで巡視船に乗り続けていたと耳にしました。
仕事が出来ないのに、今後も年功序列で階級が上がり、威張り倒されることが続くと、優秀な若手などがやる気を失い、他の官庁に移ったり辞めたりすることが発生すると思います。

(実際に何人もいました)
いい加減、官庁も民間企業のように能力評価をもう少し取り入れてもいいんじゃないかな?と民間企業に転職して思った出来事でした。

衝撃的な内容でした。正直信じられませんが、、、

嘘みたいな本当のお話です。
皆さんの周りにもこんな毒上司が多く存在すると思いますが、我慢せずに告発すると、今の状況が大きく変わるかもしれませんので、我慢できないくらい辛い方は、自分が辞めたり病んでしまう前にチャレンジしてみてもいいと思います。

私を含めて皆さんが毎日楽しく仕事ができるようになるといいなぁと思います。


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