皆さん海上保安庁の巡視船を間近で見たことはありますでしょうか?
結構古い船から新しい船までたくさんの巡視船が全国にあるんです。
(日本の海を守るためには少ないのですが、、、)
その中にも海上保安庁の船にはサイズがありまして、
CL=小型の巡視艇
PC=大型の巡視艇
PS=小型の巡視船
PM=中型の巡視船
PL=大型の巡視船
PLH=タケコプター(ヘリコプター)搭載型の大型巡視船
ちなみに「巡視艇」と「巡視船」の違いはこんな感じです!
「巡視船」とは、外洋の広範囲な海域での活動に適した比較的大きい船型
「巡視艇」とは、港内や沿岸などの限られた海域での活動に適した比較的小さい船型
サイズや重量など詳しく知りたい方は海上保安庁のHPから見れますので、そちらをご覧ください!!

ほかにも「HL」や「FL」などの特殊な船もあります!
さて、そんな巡視船のざっくりした説明をさせていただいたのですが、これは私がPM巡視船に乗っている時のお話です。
海上保安庁24時パワハラの実態
私が潜水士になる前のこと、旧型のPM巡視船にて勤務をして半年経ったころのことでした。
巡視船の解役が決まり、新型ウォータージェットの巡視船に配置換えすることになりました。

「解役」ってなんですか?

解役はですね、船が古くなったんで使わなくなることです。この巡視船はどこかの国に売り飛ばされました。

売られちゃうんですね。

一応まだ使えるんですが、日本の海を守るのには役不足になってしまったんですね。
「解役」の準備はかなり忙しく、船の備品などを全て陸上にあげたり、海上保安庁の痕跡を全て消さなければなりません。
しかも陸電もつないでいないので、電気も暖房もつきません。
この時の季節は真冬でしたので、この作業はとてもつらかったです。
この時に起きた「動け!発電機」のお話はいずれしたいと思います。

面白そう!
これもまた拷問みたいな話ですが、、、
新造船に乗船
無事に解役式も終わり、しばらくの間よくわからない予備員という陸上職員となり、救難課や警備課の雑用をこなしていました。

この時に陸上職員にはなりたくないと思いましたね
そして待ちに待った新造船の就役式!
真っ白なボディで全てがピカピカ!
機関室もなんかいい匂いが、、、する!
しかも機関が全然違うので、現場に出てから覚えたことが全て通用しなくなった絶望を今でも覚えております。
役に立ったことは油の補充方法くらいでした。
船内も綺麗!
船室も綺麗!
風呂も綺麗!
トイレも綺麗!
最高だなぁ!!
なんて思いながら船橋に訪れてみると、船橋の機関科ポジションの場所は「ガンダム」のコックピットのようになっており、男心がくすぐられました!

ア〇ロいっきまーす!

なんですかそれ?
その世代じゃないのか。。。
このようにテンションが高かったのは停泊中までのことでした。
初出港直後に私を含め、歴戦の勇者達の顔色が変わりました。
そう、とんでもないほどのスピード感!
そしてとんでもないほどの揺れ!!
とんでもない浮遊感!!
私の脳みそは一瞬にして限界を迎え、「ガンダム」で遊ぶことなくトイレに直行いたしました。
この日から新造船のトイレとは友達以上恋人未満になりました。

あら、さっそく。
新造船の揺れはあらゆる方向から揺れるため、かなりきつく、主計科の人も困惑したため、しばらくの間は丼物のような一品料理が続くことになったのを覚えております。
しかも厄介なことに、アンカーを打っていても揺れるのが最悪でした。
航海中休まるときが一時もありませんでした。
搭載艇ゴムボートで拷問
そんな全員が具合が悪くなる新造船に、旧型の船には搭載されていなかったものがあります。
そう「高速のゴムボート」です!
速度については企業秘密ですが、旧型の船に搭載されている小型艇よりもはるかにスピードが出るものとなっております。

よし!ちょっと試運転してみるか!!
そう切り出したのはイケイケの航海長でした。
以前特警船に乗っていたことがあるらしく、ゴムボートの操船を久しぶりにしたくなったらしいのです。

俺は選ばれるな!揚降作業員配置にしてくれ!!
そんな儚い願いは叶わず、新造船に搭載されているゴムボートに搭載されました。
慣れない揚降作業でゴムボートを揺らされる恐怖、これからゴムボートの訓練でなにをされるかという未知の恐怖と戦いつつ、ようやくゴムボートが海に着水しました。

よし!最初は俺が手本を見せてやる!!元海保!前の椅子に座ってバーをしっかり握ってろ!落ちるなよ!!

はい!落ちた時はそのまま母なる海に還ります!
そういってゴムボートの前の席に座り、両脇のバーをしっかり握りしめた途端、ゴムボートが信じられないくらいのスピードで滑走し始めました。
ぶぃぃぃいん!!ばしゃんばしゃーーん!!
波にぶつかりゴムボートが跳ね回りますが、航海長はスピードを緩めません。

ははははは!ゴムボートはなぁ、どんなにスピードを出して曲がっても転覆しないんだ!!
完全にガンギマリしている航海長は次の瞬間ハイスピードでドリフトを始めました。
その瞬間自分の腕がプチプチと嫌な音をたてているような感覚がありましたが、バーを離してしまうと本当に海に還ることになりそうだったので、必死になってしがみつき、足は全力でゴムボートの先端に突っ張って落ちないようにしておりました。

どぉぉだぁぁぁ!面白いだろぉぉぉ!!

キツいっす!腕が取れそうです!一旦スピード下げてください!!

何ふざけたこと言ってんだ!?そんなこと言ってる軟弱者にはもう一回同じことをしてやるぅぅぅ!!
そういって何度もハイスピードドリフト拷問を受け、私の筋肉という筋肉は破壊されていきました。
なんとか拷問に耐えきりはしましたが、結局航海長だけが運転をして訓練が終了しました。
最後に
その後も時折ゴムボートの操船訓練に参加する航海長は毎度同じ事ばかりやり、ついに新人の海上保安官を海に放り出してしまいました。
しかし、反省することなくその後も異動になるまで同じことを繰り返し続けました。
今はもう定年退職されていると思いますが、こんなイケイケな人がいっぱいいるのが海上保安庁の巡視船です。

皆さんもそんなゴムボートの特等席に座ってみませんか!

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