
皆さん!元海上保安官の「元海保」です!
今回のお話は「犯罪の証拠を捜索」したお話となります!
海上保安官の潜水士といえば、映画「海猿」で話題になりました「潜水士」が有名ではないでしょうか?
実は人命救助だけではなく、「事件の捜査」も行っているんです!

火曜サスペンス劇場でも、犯人がたまに包丁とか海に捨てるでしょ?
ああいうのを警察と一緒に探したりもします!
他にも、海に落ちた車両捜索であったり、張り込みなんてこともすることがあります。

ということで今回は「人命救助」以外の潜水士の業務内容に触れていきたいと思います!
犯罪の証拠を捜索

巡視船で潜水士といして配属されていた頃のお話です。
いつも通り巡視船にて業務を行っていたところ、保安部から一本の連絡が入りました。

とある事件の犯人が海に証拠のデータが入ったPCを捨てたと供述したんだけれど、今から探しに行ってくれないかい??

OK牧場!
犯人はすでに逮捕しており、現場海域の情報などが送られてきました。
海図で確認すると、指定された海域の水深は約40m。
捜索範囲もかなりアバウトで、広範囲となっておりました。
潮流予測などを確認しても、見つけられる可能性はかなり低い。

潜水に使用できる日程は2日間。

そんな無茶な!!
そんな無茶な内容でも、断るわけにはいきませんので、当時の海域の状況や漂流予測を確認し、捜索範囲を入念に絞り込んでいきます。
深度40mの潜水は、およそ10分程度の捜索しか行えないため、班の編成、捜索方法が重要となります!
この時の潜水班は私を含め5名しかおらず、先行して3名にて捜索を行い、残り2名は2回目の潜水を行うことにしました。
海底40mの潜水捜索

捜索海域に到着後、潜降索を海に投入し、減圧ステージを設定。
超明るい水中ライトを準備し、先輩、私、新人の三名にて潜水捜索を開始しました。
ポジションとしては先輩が1番員といって潜降索に位置し、方位や時間を管理。
2番員は捜索に使用する索にテンションを張って外側を潜水するポジション、これは中々重要なポジションで、息の持ちが良い私が行い、3番員といって、1番と2番の間を捜索するポジションは新人がやることになりました。
捜索方法は環状捜索といって円状に捜索する手法を用いて捜索を実施。
水深40mでは音もなく静かで、明かりが届かないため暗く冷たい。。。
しかし!私には超高性能ライトがあったため全然怖くないし、静かで気持ちいいとまで感じさせてくれる海域でした。

次潜るなら、もっとゆっくり堪能したい。
ですが、この時は時間もないため、一切無駄な動きもせずに、捜索に全力を尽くしました。
普段頼りない新人も人が変わったようにスムーズに作業を行い海底の砂を巻き上げることなく捜索を行ってくれました。

ですがそう甘くはなく、PCを発見できずに浮上。
2回目の潜水も発見することはできずに1日目の潜水は終わりを迎えました。
その後海域の設定、捜索方法、班設定などの打ち合わせを行い、捜索範囲の変更以外は本日のまま再捜索を行うことに決定。

明日に備えて就寝。この時はワッチ作業を免除していただきました。
歓喜と絶望の潜水捜索

昨日同様の流れで潜水を開始、スムーズに40mまで潜ると、スピーディに捜索を開始。

ここで見つけられたら俺格好いいな!
と思いながら捜索を実施していると、、、
ピカ
ピカ

あれ?私の超高性能ライトに何か反射している。。。

キタァァァァァァァ!!!
PCあったやないかーーーーい!!
と一瞬興奮するものの、索の外側にあったため、見失ってはいけないと思い、班員に止まれの指示。
班員が止まった合図を返してくれたので、発見の合図を送ると新人が目を輝かせ颯爽と現れました。

そう、砂をまき散らせながら。。。
新人が目の前に来た頃には視界は0グラビティ。
潜水時間も無くなったため、回収できずに浮上することに。
減圧ステージにて先輩が

「PCは?」
みたいなジェスチャー。
新人の青ざめた顔。
先輩の血走った目。
封神した私の魂(封神演義)

だがしかし、私と先輩は方位を確認しており、2人とも同じ方位を確認していたことから、次の班にて見事PCを発見、回収することに成功!!
後日、今回のPC発見が評価され、潜水班は部内ではありますが表彰され、副賞として栄養ドリンク一箱(潜水班分)を授与された。

せめて一人一箱欲しかったな



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