
元海上保安官の「元海保」です!
今回のお話は「グリーフラッシュ」についてのお話です!
皆さんは今までの人生の中で、この瞬間の映像は今でも心に残っている、目に焼き付いてるよ!
なんて光景はあるでしょうか?

私は人生で一度だけグリーンフラッシュを目撃したことがあります。
疲れ切っていたこともあり、その光景を目の当たりにしたときは、

おお、あそこにフライングダッチマンがいたのか
とパイレーツオブカリビアンが真っ先に浮かんできてしまいました(笑)
しかし、海と太陽の神秘的な瞬間が見れるのも、船乗りの特権なのかもしれません。

とても貴重な体験をさせていただきました。
救難現場でフライングダッチマンに遭遇


ちなみにグリーンフラッシュを見るにはいくつかの条件をクリアしなくてはなりません。
①地平線もしくは水平線
②日没もしくは日の出のタイミング
③空気が非常に澄んでいる
以上3点が最低条件らしいです。
なぜ海保の私がこんな条件をクリアできる場所にいたかといいますと、ズバリ海難が発生しており、かなり沖のほうに行っていたからなんです。

その時のお話を今回はさせていただきたいと思います。
それはある日のこと、特にイベントがない通常の業務中に起きました。
原発警戒を行っており、海域内でワッチをしているときのことでした。

通信科のもとに一本の連絡が入る。
遠海で海難発生


○○沖○○マイル、転覆船情報あり、本船は直ちに現場に急行せよとの連絡が入りました!
プップーーー

「転覆船情報あり、転覆船情報あり、本船○○沖、○○マイルに向かう」
「繰り返す、、、」
転覆船の連絡を受け、現場に向かうことになりました。
現着までおおよそ1日半から2日、かなりの距離があるため、潜水班は現場の状況を収集し、対応策を決定します。
しかし、事前の情報が少なく、完全に転覆しているのか、沈んでいるのか、浮いているのか、そんな情報もまだ不明だったため、考えられるプランをまとめ、機材を準備します。

この時にしっかり機材を準備することによって、現場ですぐに救助活動ができるようになります
現着までの間、ワッチ以外はしっかりと休息をしておきます。
現場で数日活動することもありますので、ここでテンションを上げるのではなく、身体を休めることも仕事の一つなのです。
タイタニック発見

到着した現場には、不謹慎かもしれませんが、タイタニックのように船体が真っ二つになっている状況で浮いている大型の漁船がありました。

え?マジ?
情報によると船員は3名。
未だに見つかっていないとのことでした。
おそらく、海に流されているか、船内のどこかにいる状況。

船の周りは重油だらけとなっており、こちらを誤って口に入れると死に至ります。
巡視船から小型艇を降ろし、支援班と潜水班にて船まで向かいました。
現場ではまず最初に、船が沈まないようアクアリフターという浮体を船体に取り付け、潜水士が船内に捜索作業する際の安全を確保します。

これマジ大事な作業です!
絶対に二次被害だけは起こしてはいけません!
そして、ここから船内の捜索に入ります。
捜索時の編成はこのようになります。
①船内捜索班
②海面にて船体の異常を確認し連絡をする班
③船外にて、船体の異常や、船内にて行方不明者を発見した際の連絡係

そして私は船内の捜索を実施しました。
結論から言ってしまうと、船内に人はいませんでした。
おそらく海に流されて行ってしまっている状況だと思います。
グリーンフラッシュ

捜索を終え、機材を撤収、重油が目に入りかなり痛い思いをしましたが、ここからは転覆船の処理の確認、行方不明者捜索、などなど多くのことがあり、すべてを終えて帰港するときには、船員のみんながかなり疲弊しておりました。
そんな時、後部甲板で片付けを行っていると、船内放送の音がしました。

マジかよ、また海難?燃料も残り少ないぞ、船も俺も、、、

総員、水平線を確認!グリーンフラッシュ発生の可能性あり!!
その場にいた全員がスタンションに突撃し、水平線をガン見、しばらくすると、フッと緑の線が水平線をなぞった。


おお~~!!本当に一瞬じゃなあないか!!
全員疲れ切っていたはずなのに、グリーンフラッシュが見れると知った時の動きは、出港初日くらいの切れの良さでした!
最後に

そんなこんなでかなり大変ではあったのですが、終わりにグリーンフラッシュという頑張ったご褒美をくれる地球に感謝!!というお話でした!

結構大変なことも多いんですが、たまにご褒美のようなことが起きる職場です!
将来なりたいものがまだ決まっていない方は是非海上保安庁の公務員試験を受験し、海上保安官になってみましょう!!

公務員試験勉強を毎日一時間頑張ってやりましょう!



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