
皆さん!元海上保安官の「元海保」です!
今回のお話は「船の上の喫茶店」についてのお話です!

そう、海上保安官はコーヒーが大好き!
(嫌いな方も勿論います)
基本的に巡視船勤務の時にはワッチという船橋で見張りをしたり、機関室でエンジンを管理したりと業務をおこなっております。

その時に必ず飲んでいる飲み物こそコーヒーなのです!

このコーヒーはボットム(船の中で一番下っ端)がワッチ前に準備をしておくというのが習わしとなっており、ワッチにいる人たちの好みに合わせてコーヒーの濃さを調整するという技術が必要となってきます。
最初の頃は慣れないことから好みに合わせてコーヒーが作れず、バカだのアホだのクズなどの暴言を吐かれたものです。
巡視船内で喫茶店を無許可で開業


え!?コーヒーでそんなに言われるんですか??

そうなんです。
今の時代はそんなことしてたらパワハラだなんだで大炎上だと思いますが、私が下っ端の時はこんな感じでした。
そんな過酷なコーヒー作りを繰り返すこと数か月、ようやくワッチの方々に認められ「見習いバリスタ」の称号をゲットすることができます。
コーヒー作りをみんなに認められ、ようやく自分もコーヒーの味を堪能することができるようになります。
私は当時PL巡視船に乗っており、機関科も船橋ワッチをしていたので、船橋からデッキにでて飲むコーヒーが大好きでした。
程よい海風を感じながら飲むコーヒーは格別です。


そんな時からでしょうか、コーヒーにハマりだしたのは、、、
巡視船内で本格的なコーヒーを飲む

船橋で飲むコーヒーは船員みんなでお金を出し合い購入しております。
飴やガムインスタントコーヒー、スーパーで売っているようなコーヒー豆などを購入しており、正直雰囲気的な美味しさはありますが、そこまでこだわっているコーヒー豆ではありませんでした。

本格的な豆で入れたコーヒーはどんな感じなんだろう?
そんな疑問が脳内を駆け巡り、私は業務に身が入らず、その時の航海では100回ほど顔面にウエスを投げつけられたと記憶しております。
なんとか業務を乗り切り入港、私は休み中コーヒーショップを探しに旅に出ました。

それは長く苦しく困難な旅でした。。。

絶対嘘ですよね??
半分以上は盛っていますが、車で結構探し回り、道具とかも色々そろえることはできました!
巡視船内に喫茶店をOPEN

休み明けの航海では自室に購入したバリスタセットを設置、ワッチ外に堪能しようと準備をしておりました。

ちなみに今回購入したのは以下のアイテムになります!



出港準備も完了し、いざ出港。
すぐにワッチではなかったため、一旦自室で待機することに。

時はきた、それだけだ!
いよいよ待ちに待ったこの時が来ました。
部屋のドアを閉め、コーヒー豆をガリガリ削り、粉にしてフィルターへ、マグカップにセットし、いざお湯をどーん!

ん~~、いい香りだぁ
そこそこ高かったコーヒー豆から淹れたコーヒーの香りは、上品&エレガント&セクシーな感じがしておりました!
こんな部屋で飲むのは勿体ないと判断し、すぐさまコーヒーをもって甲板上に飛び出ていきました。

私はこのコーヒーのために海上保安官になったのではないだろうか。
そんな感動を覚えるとともに、私は恐怖に足がガクガク震えていました。
そう、美味しいコーヒーを飲んでいるのを恐ろしいジャイアンこと、主任機関士の藤田さん(仮名)に見られていたのです。
そこからは自室に連れていかれ藤田さんの分のコーヒーを淹れさせていただき、なんとか解放していただくことができました。
船内の空き部屋を喫茶店に改装

藤田さんに見つかってからというものの、コーヒーをハイエナ海上保安官に奪われることを恐れた私は、直近の先輩や同期などの少人数でコーヒーを楽しむようになりました。

コーヒーは美味しいなぁ

なんかミル挽きも手動で疲れてきたからさ、自動の買おうよ

いいねぇ、じゃあ豆も買いたそう!
そんなこんなで電動のミルやコーヒーメーカーなどが揃っていき、部屋中がコーヒーの良い香りに包まれていきました。

するとコーヒーの香りを嗅ぎつけ、どんどんコーヒーを求めてやってくる人が増えてきました。
コーヒーを求めてくる人が増え、私の部屋がごちゃごちゃしてきたのが嫌だったので、空いている一室に移転し、完全なコーヒーショップを展開することになりました
(営業の届は出していないモグリの店となっております)
コーヒー大繁盛

初めの頃はタダ飲みする人が多かったのですが、コーヒーのお代代わりにコーヒー豆を調達してくれる方が現れました。
それからというもののコーヒーを飲む代わりに豆を仕入れてくるというギブ&テイク方式が出来上がり、自分たちで豆を調達しなくてもコーヒーが飲み放題になるというシステムが構築されていきました。
ある人はインスタントコーヒーを持ってきて、高級なコーヒーを飲んでいったり、ある人はどこで買ったんですか!?
っていうような珍しいコーヒー豆を調達してくれる上客など、様々なお客様(海上保安官限定)がいらっしゃいました。

また中々こだわりが強い方が多く、

ミルで粗目に挽け!!

絶対にインスタントだ!!
という注文が細かかったり、インスタントなら自室で飲んでくれよ!
なんて思う人もいて、楽しくコーヒーショップを経営させていただいておりました。
コーヒーで船内が平和になる

また普段あまり接していなかった先輩や上席の方々とも接する機会が増え、私を含め船内の雰囲気が良くなっているような感じがしました。

流石に船長がわざわざコーヒーを飲みに来たときは恐縮いたしました。。。
ワッチ中の仲の良い先輩からはたまに内線がかかってきて、コーヒーのデリバリーを頼まれることもありました。
(今でいうウーバーイーツです)
船橋にウーバーしつつ、自分の分のコーヒーも持参し、コーヒー片手に船橋から海を眺め一言

最高の一杯だ
最後に

美しい海を見ながら飲むコーヒーは格別でございました。
そんな心温まるときもあれば、大荒れの時にコーヒー豆が飛散し悲惨な思いをしたことがあります。

いいなぁ、私も飲んでみたい!
皆さんも海上保安庁に入庁して、海の上でコーヒーを飲んではいかがでしょうか?
え?家で飲んだほうが美味しいし落ち着く?


確かにそうかもしれません(笑)
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