
元海上保安官の「元海保」です!
今回のお話は「出会いと別れ」についてのお話です!
皆さんは普段どのような出会いがあるのでしょうか?
私は最近出会いという出会いが全くなく職場を行ったり来たり。

たまにある出会いといえば近所の野良猫くらいでしょう。
大人になるにつれて、なかなか新しい出会いというものに巡り合うことは少なくなってくるのかもしれませんね。
かといって出会い系サイト(今でいうマッチングアプリ)なんかは怖くてやりたくもないし、よくよく思うとそこまで新しい出会いを求めていないという結論に至ってしまします。。。


そう考えると、海上保安庁の巡視船勤務時代は様々な出会いがあったなぁ、なんて思います。
巡視船で感動の出会いと別れ

人間との出会いはさておき、巡視船にて海を航海していると、イルカの群れが横に縦列で並走し、いつの間にやら競争が始まっていることがありました。
しばらくしたら飽きたのかプイッとそっぽを向いてどこかに行ってしましました。

他にもワタリガニに遭遇したり、ウミガメが浮いていたり。。。

私も海保になろうかな!


そんな海の生物と遭遇することの他、空の生物ともよく遭遇するんですよ!

え?なんですか?

鳥です
海の上にはよく鳥が飛んでいます。
鳥に詳しくないんで名称は存じ上げませんが、
鳥です

あの鳥たちはどこで休んでんのかなぁ?船に留まったりするのかなぁ?近くの島かなぁ?
なんて思っていたあの夏の日
いつものように船橋でコーヒーを優雅に飲みながら鳥を眺めていると、一羽の鳥が巡視船に特攻してきました。
巡視船は約14ノットで海の上を走っていました。
ペチッ
っと軽い音が船橋に響きわたります。
鳥をトリアージ


これは完全に当たり屋にやられましたね。慰謝料請求されますよ、どうしますか航海長?
そう尋ねると

元海保潜水士は要救助者のまずは安否確認してこい!
とのお達しを受け鳥の元へ。
そこには年齢不詳無職の鳥(名称不明)が横たわっており、ピクリともしていませんでした。
二次被害がないよう周囲の確認を行います。

周囲の状況良し!
要救助鳥に近づく、そしてまずは意識の確認を実施
大丈夫ですか?
大丈夫ですか!?
大丈夫ですか!?

意識なし!
ここで人相手であれば救急車とAEDを手配するのですが、鳥なので省略。
脈と呼吸の確認を行います。

呼吸の確認!
胸の動きを確認できた為、呼吸はしていると判断。
頭を打っている可能性があるので、頭部を固定して羽などに少し刺激を与えます。

痛み刺激実施!ちょっと痛いですよ~
少し反応はあるが、開眼はしない。

痛み刺激に反応あり!
JCSは3桁と判断
とりあえず段ボールにウエスを敷き、水を用意。要救助鳥を搬送し、経過を観察することにしました。

航海長!トリアージ終了、要救助鳥を病院(段ボール)に搬送しました。

良し、よくやった!とりあえずワッチに復帰しろ!

はい!
鳥でHR訓練実施

そんなやりとりをしつつ、ワッチが終了。
要救助鳥の経過観察をしに病院(段ボール)に向かいました。
病院には沢山のお見舞い(船員)が来ており、ワイワイガヤガヤ。
よく見ると意識が戻りあたりをキョロキョロ確認しています。

もう安心かな?
と思っていると、若手の1人がこんな提案をしてきました。

元気になってきたので、飛行甲板から飛びだたせてみませんか??

それ、面白いやないか!!
善は急げと段ボールを抱え、飛行甲板に走り出しました!
段ボールをHマークの中心に配置し、誘導員が周囲の状況を確認する。

周囲に船舶、航空機なし!
上空に他の航空機が飛行していないことを確認、船舶の航行状態も異常なし、アグスタの飛行準備も完了!
あとはアグスタにエンジンがかかり飛び立つだけとなりました。

消火設備配置良し!
万が一の場合を想定し、消火設備も用意してテイクオフの様子を伺います。
(実際のヘリのテイクオフと同様の手順でやっております。)
時はきた
誘導員の誘導のもと、要救助鳥の羽がピクピクと動き出します。
徐々にエンジンがかかり、アグスタのプロペラとテールローターが回り始めます!!
その直後、アグスタが天高く舞い上がりました。
そしてこちらを振り返ることもなく大空へ羽ばたいて去っていきました!
その場にいた海上保安官たちは自然と帽子をとり手を振ります。
中には感動で涙を流す者、感極まって天を仰ぐものなど様々で、私も要救助者が無事に社会復帰したことがとても嬉しく、感慨深いものとなりました。

ありがとう、最近で一番面白かったよ!
私たちは彼(要救助鳥)の名をアグスタと呼んだ。

またいつか会おう!その日までさようならAW(アグスタ)!!
最後に

若手による鳥でのHR訓練を眺めていた上席たちは、何故か感心しておりました。

お前らHR訓練普通にできてるじゃないか!
普段のHRと違って緊張感というよりワクワクが勝っていたことから、みんな伸び伸びとしており、すべての動作が完璧だったとのことでした。
やはり何事も楽しむことが成長に必要なことなんだなぁと思った出来事でした。

そんな職場に皆さんも就職してみませんか!?


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