
元海保さん!海上保安庁に入る前に、海上保安庁のお話が聞きたいです!

そうだなぁ、、、とりあえず進路の話をしようかな
海上保安庁に入庁すると、海上保安学校で約1年間勉強&訓練を行って、やっと現場に出ることができます!
海上保安学校に入学するまでに準備しておいたいいことをまとめましたので、こちらをご参考ください!
現場に出るとまず巡視船に配属されることになります。
(いきなり陸上勤務もあります)
巡視船に配属され、一生懸命業務に勤しむと、潜水士や機動救難士といったレスキュー隊員になったり、語学研修に参加して通訳官になったりといった道に進むことができます!


あ!良い話を思い出しました!
今回は私が機動救難士の時に経験した「サーファーの救助」事案についてお話させていただきたいと思います!
海のもしもは118番!要救助者を救助せよ!

私が機動救難士として航空基地に所属していた頃のことです。
航空基地では基本毎日訓練を実施しており、待機の機動救難士以外はヘトヘトになるまで訓練を実施しておりました。
その日の私は海難対応の待機隊員となっており、訓練を遠目から見守っていました。

今日の訓練はサーキット訓練か。待機で良かったぁ
なんてキツイ訓練に参加できなくて悔しい思いをしていた直後、航空基地のオペレーションに一本の電話が鳴り響きました。

はい、はい。分かりました。すぐヘリを出します。

あ、絶対海難じゃん
オペレーションにいる専門官の口調が海難を物語っている。
ヘリを出すということは、機動救難士の出動事案確定となります。
たまに航空機(飛行機)にて現場海域の確認に行ったりするのですが、「ヘリ」という単語が出た場合、機動救難士搭乗確定です。

○○沖にてサーファーが流されていると通報があった。
ヘリでの救助が一番早いので救助に向かう!
海難が発生した際、機動救難士は救助機材を準備し、ウエットスーツ(ドライスーツ)に着替えてヘリに搭乗します。
この時、バディの先輩隊員がポツリとtweetしました。

はぁ、サーファーか、、、
俺はお前を離さない!!

ヘリに乗り込みテイクオフ!!
海難現場まで直行します!
現場に向かう道中、シャーク先輩と救助方法の打ち合わせを行い、段取りを組み立てていきます。
レスキューでは段取りが超重要です!潜水士やレスキューを目指している人は、事前準備が一番大事!ということをしっかりと覚えておきましょう!!

そういえば先輩、さっきサーファーがどうのこうの言ってませんでした?

サーファーってサーフボード命だからさ、サーフボードも救助しろって駄々こねるんだよ。
前もそれで苦労したんだよね。
今回は素直に協力してくれるといいなぁ。。。
そんなシャーク先輩の淡い期待もは見事に打ち砕かれることになります。
現場に到着すると、力なくサーフボードにしがみ付く男性を発見しました。
ヘリの直下は「ダウンウォッシュ」という強烈な風が発生するので、サーファーの人が溺れてしまわないよう、少し離れた海面に降下して救助に向かいます。
海面に降下し、シャーク先輩と要救助者のところに到着すると、サーファーの第一声がこうでした。

サーフボードも一緒じゃないと行かないから!!

おっと、元気じゃないか。泳いで帰れるんじゃないか?
なんて思ってしまいましたが、沖からは離れており、おそらく「離岸流」も発生していることから、このままだと更に沖に流されてしまう恐れがありました。

サーフボードは大きいのでヘリに収容できません!
巡視艇もこっちに向かっているので、そちらに回収してもらいます。
海面でパシャパシャ説得すること数分。

俺はこいつを置いていけない!!こいつがなくなったらお前ら訴えてやるからな!!
まさかの救助しに来た要救助者に脅迫されるという珍事件が勃発!!
これだからシャーク先輩はあんなに不安を感じていたんだと思う出来事でした。
税金泥棒?俺も税金払ってる!!

その後何とか説得に応じてくれたサーファーのお兄さん。
吊り上げ救助の為機材を取り付け、いざ吊り上げ救助を開始すると、子供のようにはしゃぎだし喜んでいました。

うわ!最高!高っ!こんな経験できるんだったら、遭難も悪くないな!!
おいおい、何言ってんの?正気?このまま海に投げ捨ててやろうか!?あなたを助けるのにどのくらいの税金がかかっていると思っているのよ!?
と思いつつも、私は機動救難士。海上保安庁のレスキューエキスパート。

もう、そんなこと言わないでください。
遭難ばっかりされたら税金がなくなっちゃいますよ。
そうやって救助には税金がかかっているんだよ?っていうことをやんわり伝えると、彼は満面の笑顔でこう言いました。

大丈夫!俺も税金払っているんで!!
それから開いた口が塞がらず、ヘリに吊り上げて陸地に要救助者を搬送し、航空基地に帰るまで口が開きっぱなしになっておりました。
救助も無事終わり、機材の片づけをしていると後ろからシャーク先輩がこう言いました。

お前もサーファーを経験したな。
これで一人前の機動救難士だ!!
最後に
サーファーの方がこちらの記事を読んでいて気分を害しましたら申し訳ございません。
サーファー全員がこのような人ではないと信じております。
このようなケースもありましたよ!という紹介となっております。
ただ、今回のように海で遊んでいて沖に流される。といった海難が後を絶ちません。
沖に流されて緊急の際は「海のもしもは118番」を頼っていただいて問題はありません。
むしろ危険な時は必ず通報してもらいたいと思います。
しかし、海で不用意に危険な行為をし、結果救助を要請するということは辞めてもらいたいと思います。
救助するには莫大な費用がかかるんです。
その費用はどこから出るのか?
それは皆さんの税金からなんです。

海で悪ふざけや危険な行為をしてはいけません!というお話でした。
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